牛乳配達の親子 (2016/04/15)
一週間ほど前のことである。朝食の時に家内が牛乳に向かって手を合わせて拝んでいるのです。
「どうしたの?」と尋ねると、彼女は得意げに話し出した。
朝、目が覚めると玄関先で『ガチャン』という物音がしたので覗いてみると、牛乳配達の方が配達するはずの牛乳を落として割ってしまったらしい。
申し訳なさそうに片付けている方の背中には小さな赤ちゃんが、また配達の車の脇には3歳ぐらいの男の子。思わず胸が熱くなってしまって一緒に片付けさせていただいたと言う。
「この牛乳は、そういう牛乳なのよ」と、コップに注いで私に差し出した。
そして、私がどのようにしてその牛乳を戴くのかを観察しているかのごとくこちらをじっと見ている。
「ちゃんと心して戴けよ」と言いたげだった。
「それも大事だが、その牛乳配達の親子のこれからの立ち行きを願わせてもらうことも大事だと思いますがね」
それ以来、毎朝、牛乳を見る度、親子の立ち行きを願うのが我が家の日課となりました。