06月23日（木） 幸せの印材
印材を持ち込まれてこれに彫って下さいと言う方がたまにあります。印材を持ち込んだのだから、安価ではんこを作れるかと思われているのか、大半のお客様の反応は、「結構、いいお値段しますね」とおどろかれます。
ハンコの場合、印材の値段より彫る為の手間賃が大半です。当店の場合は、販売価格の７０％が彫刻料となります。改刻（新たに別のものを彫る）の場合は、印材を平らにする手間が加わりますので、黒水牛以下の印材では新しく作られた方が安くつく場合もあります。
先日も象牙の印材の持ち込みで娘さんの実印の彫刻のご依頼がありました。
印材を見せてもらうと、あまり良い印材ではなかったので「中国かどこかで手に入れられたものですか？」とお尋ねしました。
数年前に訪問販売でご自身の実印を作った際に、娘の分もと勧められたのですが、娘はまだ小さかったので遠慮したら、この印材はちゃんとしたところで御祈祷した印材ですので今彫らなくてもお守りとして印材だけでもと言われ購入したものです。
象牙の印材としては印材とは言えないほどの粗悪なものでしたが、お守りとして大事に持っておられたのですから、それはもうどんな印材にも負けない立派な印材なのです。
今まで守ってくださいったお礼の意味を込めて、ちょっとくすんでいた印材をピカピカに磨かせていただき、持つ方の幸せを祈りながら気合を入れて彫らせていただき本日納品させていただきました。
ハンコで運命が変わるということは完全否定しますが、昔から「イワシの頭も信心から」といいます。要は、「信じる」ことが大切だと思います。
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